40日目では、月額賃料をパラメーターにIRRの変化を検証してみました。今日は、引き続きで他のパラメーターで計算してみます。
2.入居期間
これまでのシミュレーションでは、雑居ビルの2つのテナントが3年ごとに入れ替わるという設定です。
今使っているエクセルのキャッシュフロー計算シートは、1Rマンション用に作ったものです。そのため3年になっています。
オフィスのテナントが3年毎に入れ替わる? ちょっと短すぎますよね。実際の契約期間はどのくらいで算定するのが妥当なんでしょうか?
インターネットでは、住居系賃貸の契約期間に関する調査結果がたくさん掲載されています。例えば、大和ハウス工業のホームページです。
これによると、学生を含む単身者は、2年から4年が67.8%、学生だけに限定すると87.8%にもなります。ということで、現在の3年という仮定は妥当なところですね。
では、オフィステナントの入居期間についてですが、ザイマックス総研の調査結果を見つけました。
こちらのレポートは、東京23区のオフィステナントについて調査した結果で、2014年に続いて2018年に実施したものです。
調査結果の概要は、
1. 入居中テナントも含めたオフィステナント平均入居期間は9.6年
2. 2年以上継続して入居し続ける割合は93.8%
3. 2014年の調査時と大きな差はみられなかった
4. 退去したテナントの入居期間は、平均値5.7年、中央値4.4年
5. 契約条件(契約面積・賃料単価)、ビルスペック(延床面積・築年数)と入居期間との相関関係はみられなかった
6. オフィス市況が悪化して賃料が下落している時期には入居期間が短い傾向があり、逆に賃料が上昇する局面では長くなる傾向がみられた
7. 一般的な賃貸借契約の期間は2年間(自動更新)であるものの、2年未満で退去したテナントが一定数あり、その理由や背景は個々のテナントの様々な事情があった
https://soken.xymax.co.jp/2018/12/07/1812-how_long_will_the_office_tenant_continue_to_stay/
というものです。ということは、現在の3年という設定はあまりにも短すぎるということですね。とはいえ、今(2020年5月)はコロナ渦の真っ最中ですので、この影響が今後どのように出てくるのか、冷静に見極める必要があります。
さらに、私も含めてテレワークで仕事をする羽目になった方が多いと思います。初めはディスプレイを通して会話することに不安がありましtが、こういうものだと思ってしまえば何てことはありません。慣れですね。今となっては、逆に通勤時間が無駄に感じるまでになっています。
この流れは、コロナ渦が収まったとしても変わらないでしょう。企業はオフィス面積を減らして経費先減に走ると思います。この流れは会社の規模に関係なく進むのではないかと考えています。
となると、賃貸オフィスの今後の需要動向は厳しくなるのではないかと思います。ここの需要動向については、今後の調査や賃貸相場の変動をつぶさに見ていくしかないですね。
更新料
賃貸借契約は2年ごとの契約更新が一般的だと思います。その更新時に手数料をいただくということですね。
今更ですが、更新料って何なんでしょうか。賃貸借契約に記載されているから支払っていただくことが当然のように考えていましたが、そもそも契約期間の更新の時に手数料のようなものが必要なのでしょうか。まぁ、頂く側の人間なので現状維持でお願いしたいのですが。(笑)
最高裁の判例では、「賃料の補充や前払い、契約継続の対価などの趣旨を含む複合的なもの」とされているようです。
複合的なもの? ますます分かりませんね。さらにいろいろ調べてみると、「慣習」であるとのことでした。昔は今以上に大家さんの権利が強かった名残だそうです。
地域によっても様々で、関西の住居系賃貸では更新料がないというエリアもあるようです。
住居系だと賃料の1ヶ月が相場のようですが、オフィス系賃貸の場合はどうなんでしょうか。高すぎると入居してくれませんし、住居系と同じで1ヶ月が相場でしょうか。ここら辺はもう少し調査が必要ですかね。
2年ごとに1ヶ月の更新料と設定しますが、不動産仲介業者に半額または全額を支払うということもあるので、結局は更新時の更新料の入金は「なし」でシミュレーションします。
入居年数9年でシミュレーション
入居期間を9年としたシミュレーションの結果がこれです。
入居年数3年の結果は、これ↓
キャッシュフロー期間を15年で比較すると、
IRR 8.94% ⇒ 10.68%
キャッシュフロー総額 869万円 ⇒ 1045万円
と大幅向上します。
今日のまとめ
1Rマンションよりもオフィス賃貸の良さは、この入居年数の長さにも表れています。空室率が下がること共に、新規募集の手間やコスト、さらには入居が決まるまでのヤキモキ感を感じる回数が少ないのがいいですね。