64日目では、特定のケースでNPVを求めてみました。今回は、NPVに影響を及ぼす様々な要素を変化させてみます。
年数に関係なく、同じNPVにするための売却金額は?
NPVは、未来のキャッシュフローを現在価値に割り戻した場合の合計金額でした。では、0年(今!)の価値と5年間、20年間のNPV売却金額が同額となるためには、売却金額はいくらになる必要があるのでしょうか。
計算条件です。賃料は前回と同様、経年に応じて低下する設定とします。管理費・修繕積立金および固都税の増減は見込みません。
インカムゲイン(家賃収入)に対する勤務先の会社からの給与との総合課税の税率は20%と仮定します。
賃借人の出入りによる不動産仲介料およびリフォーム費用の合計を、5年ごとに20万円が支出されるとします。
割引率は、現在の収益率(実質利回り:家賃収入から経費や税金を差し引いて売却金額で割った数字)を使います。
ここら辺の設定は細かくできますが、その部分については今回の主旨とは異なるので、ザクっと計算することにします。
売却金額をパラメーターに
0年目(今、売る場合)のキャッシュフローは、2000万円で売れたとすると、仲介手数料や印紙代、売却時の所得税を差し引くと1,766万円となります。
その次に、各期間のNPVがその金額に近い数字となるように、それぞれの売却金額を増減させます。
その結果が、これ↓です。
数万円バラついていますが、大した影響はありません。(笑)
この時の各期間後の売却金額は、
となります。
今、2000万円で売れてえられるキャッシュが1766万円。それと同額のNPVを得ようとすると、20年後の売却金額は2980万円(NPVは1764万円)となります。およそ20年間で1.5倍の金額に不動産価格が上昇することが条件となります。
単純に毎年そして最終年に物件を先ほどの金額で売却できた場合のキャッシュフロー累計です。20年という年月で、約3700万円にもなるんですよね。
不動産価格の予測
不動産投資を始めた10年前から比べると、私が所有している1Rマンションに限って言えば、今現在の価格は約1.4倍程度まで上昇しています。
そのため、20年後であれば2倍程度の上昇も見込めるかもしれません。しかし、不動産には経年劣化する建物が含まれており、さらに給排水管など住居としての機能をつかさどる重要な設備も更新が必要になったりします。
シミュレーションでは20万円/5年に含まれると仮定したリフォーム代は、もっと高額になる可能性もあります。
逆に今後の景気動向や中国以外からも含めた海外資本の流入により、さらなる不動産市場が拡大することになれば、もっと値上がりすることも可能性としては否定できません。
結局は考え方
子供の学費や定年、老後など、自分の人生のステージに応じて、売るか売らないかはその時の判断になると思います。
私の不動産投資のスタイルは、インカムゲイン主導型です。できるだけ長く保有してチャリンチャリンとお金が入ってくることです。
でも、不動産価格が上昇して、今後10年分以上のインカムゲイン相当額が今得られるのであれば売ります。
(売却金額-未償却残高-売却時経費-キャピタルゲイン所得税)
÷ 年間インカムゲイン ≧ 10年
10年としたのは、今の私の年齢から10年後は定年を迎えるためです。10年後の定年を迎えて、この不動産を売却して第二の人生のための資金にする計画です。
ですから、その資金の原資が今得られるのであれば、それも選択肢であるということですね。
現在価値は割引かれた結果である
逆に言えば、今得られる1766万円を割引率と同じ%で運用をしていく必要があるということです。
1766万円を銀行口座に入れておいてては、ダメだということです。不動産でも株式でも何かに投資して、割引率以上の利回りで運用することが前提条件になります。
今日のまとめ
NPVは投資判断の道具の一つでしかありません。その時々のお金に対する感が言え方や人生のステージによっても判断結果は変わります。NPVは後悔の少ない判断をするための材料ですね。
[…] 65日目では、NPVを同額とするための期間ごとの売却金額を求めてみました。 […]