不動産投資(1R編) 不動産投資(収益計算)

63日目 出口戦略 正味現在価値(NPV)の計算

投稿日:2020年9月7日 更新日:

このまま持ってた方がいいのか、売った方がいいのか、どうやったら判断できるのか難しいですよね。

私はインカムゲインでキャッシュフロー重視の投資スタイルですから、投資用不動産を売るというのは基本的にはないと思っています。

でも、物件は老朽化もしてくるし、不動産市況も波がありますから、このまま持ってるか、売った方が良いのか、と迷うことが必ずあると思います。

では、その判断する方法を今日は調べてみましょう。

正味現在価値(Net Present Value)

悩むポイントは、今すぐ売るのか、これからX年間の賃貸収入を得た後で売るのか、ということです。

それを比較するのに便利な方法が、正味現在価値で比較するという方法です。

今すぐと、X年後で異なるのは、X年間に得られる家賃とX年後の売却金額ですね。

もしも、X年後に今と同じ値段で物件が売れたら、X年間の得られた家賃分は収入になるので単純に有利だと思いがちです。でも、実際は「時間」というマジックが働くので、そう簡単ではありません。

今の100万円と10年後の100万円

同じ100万円でも、価値が異なるだろうというのはすぐに思う浮かぶでしょう。

身近な例を挙げてみましょう。

子供の時、好きでした

このアイス、私が小学生の頃、30円くらいだったような記憶があります。もしかしたら、もっと安かったかな? まぁ、年齢がばれますから、30円ということで。(笑)

もしも、今、このアイスが90円で売ってたら、このアイスの値段は3倍に上がったということですね。

逆に言えば、お金の価値が3分の1に下がったということです。

この例は、過去と現在のアイスの値段を比較したものですが、今日の目的は、これを現在と未来とで比較することになります。

未来のお金の価値を、現在の価値に補正するということですね。補正して今の価値にしてあげれば、今すぐに売って得られたお金と単純に比較できるようになります。

未来の100万円は、今の100万円とは価値が違います

X年後に今と同じ2000万円で物件が売れたとしても、将来の2000万円を現在の価値に補正してあげると、2000万円よりも低くなります。つまり、現在価値では、今売った方が良いという判断になります。

キャッシュフロー予測

正味現在価値(NPV)を計算するには、毎年のキャッシュフロー予測を立てることが必要です。

不動産賃貸におけるキャッシュフロー項目は、以下の通りです。

【収入】

  • 賃料収入
  • 礼金
  • 売却金額

【支出】

  • 管理費 修繕積立金
  • 固定資産税 都市計画税
  • 賃料収入による所得税
  • 修繕費やリフォーム費用
  • 仲介手数料(賃貸)
  • 売却時の仲介手数料
  • 印紙
  • 譲渡所得による税金(所得税+住民税 キャピタルゲイン)
  • ローン返済

その他、譲渡所得を求めるために、未償却残高も必要となります。

ここで、賃料収入による所得税ですが、総合課税になりますので自分の給料に応じた税率での計算になります。

正味現在価値(NPV)の計算の仕組み

NPVの概要です

キャッシュフロー予測を立てると、毎年の収支がわかります。毎年末に得られる金額を現在価値に補正してあげて、合計すると現在価値が求められます。

上の模式図では、毎年10万円のキャッシュフローがあり、X年後に100万円売却したケースとなります。

割引率

毎年のキャッシュフローを補正して現在価値に変換するのですが、その補正を割引と呼んでいます。数十年前の30円のアイスが現在は90円になっているわけですから、30円に補正するためには90円を割引いて計算することになります。

そのため、割引率を設定して現在価値を計算することになるわけです。

実はこの割引率、ちょっとまだ勉強が足りないんです。どのように設定すべきなのか理解できていません。収益率であるということは分かったのですが、今回のようなケースの場合、収益率をどのように求めるのが適切なのでしょうか。。

今回は以下のように考えました。

割引率 = 毎年のキャッシュフロー ÷ 今、売った時の手残り額

「今、売った時の手残り額」は、売買金額から、次の項目を差し引いた金額です。

  • 仲介手数料+印紙代
  • 譲渡利益による所得税と住民税

計算してみる

先ほどのNPVの概要の例で、NPVを計算してみます。エクセルのNPV関数を使います。とっても簡単です。

正味現在価値 = NPV(割引率, キャッシュフローの範囲)

となります。

キャッシュフローは、毎年年末に入金があるとします。すぐに売る場合は、0年目の年末に売ります。

すぐに売る場合の金額は200万円。売らずに運用した場合は、毎年10万円の収益があるとします。

さきほど、割引率をすぐに売るときの金額(200万円)に対する毎年の収益(10万円)としました(5%)。これを変化させたときの影響を把握します。

キャッシュフローは、このようになります。

10年目は運用益と売却金額の合計。10年後の売却金額が280万円のケースです。

割引率によるNPVの変化

10年後の売却金額を200万円、割引率を(1%~10%)で変化させたときのNPVを求めてみました。

割引率が小さいほど、NPVが大きくなります。つまり、年ごとのお金の価値の下がり具合が小さい(=割引率が低い)ほど、NPVは大きくなります。

ここで注目なのが、割引率5%の計算結果です。

10年後の売却金額200万円と毎年10万円の収益があがっても、NPVは200万円となります。

つまり、この条件だと、10年という時間をかけてもかけなくても、現在価値は同じとなります。

5%未満は、NPVが200万円を超えますので、毎年10万円の収益かつ10年後に200万円で売れるんだったら、10年間物件を持ってても良さそうです。

5%超の場合は、逆ですね。売った方が良いという結果です。

また、キャッシュフロー合計は一定ですが、割引率が大きくなると当然としてNPVは低下します。

10年後の売却金額の変化

割引率を5%に固定して、10年後の売却金額を変化(100万円~280万円)させてみました。

10年後の売却額が200万円を超えるとNPVが200万円を超えるので、すぐに売るよりも10年保有し続けた方がメリットが出るという結果になります。

また、割引率が効くのでキャッシュフローに対してNPVの額は小さくなることは当然ですが、10年後の売却金額が増えてもキャッシュフローほどには増加しません。割引率の影響って大きいんですね。

今日のまとめ

時間の影響って想像よりも大きいんですね。日本国民は貯蓄は得意ですが、運用は下手とよく言われます。タンス預金とか。
確かにほとんど0の金利で銀行に預けていても、実質的には目減りしていくだけです。やはりミドルリスク・ミドルリターンで上手に増やしていかないといけませんね。

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  1. […] 63日目に単純な例で、割引率や将来の売却金額をパラメーターにしてNPVを計算してみました。 […]

  2. […] NTVについては、63日目を参考にしてください。 […]

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