興味を持った物件だったら、購入の決断する前に必ず現地確認をしましょう。
建物や周辺環境を確認しないで購入した話を聞きますが、あり得ないですね。信じられません。大金投じて購入するのに、そのものを確認せずに買うなんて。
特に築年数、特に旧耐震の建物の場合は要注意です。目視でチェックできることは限られていますが、それでもその範囲で問題がなければ多少なりともリスクヘッジにはなり得ます。
チェック項目
案件によってチェックすべき項目は変わりますが、今回のチェック項目は次の通りです。
- ロケーション(立地)
- 周辺環境
- 建物周囲の状況
- 建物外部の健全性
- 建物内部の健全性
- 設備の状況
- 屋上
- 清掃状況
- 他階のテナントの業種
などでした。1Rマンション購入時のチェック内容と大きく異なることはありません。6.設備の状況 9.他階のテナントの業種 が異なる項目でしょうか。
項目ごとに1~5点で点数をつけていきましょう。
1.ロケーション(立地) 5点
幹線道路に面しており、最寄り駅からも徒歩3分です。確かに便利な立地です。最寄り駅から徒歩3分といっても、改札からは長い地下道を通って地上出口から3分ですね。聞いてた3分では無理でした。5分以上はかかりますね。
それでも新宿区ですし、大きな幹線道路に面しているのも商業系雑居ビルとしてはテナント付けとしてもアドバンテージがあります。ロケーションについては5点満点です。
2.周辺環境 4点
繁華街+事務所が入った雑居ビル街といったところです。繁華街のエリアですので、夜はなかなか賑わいがある雰囲気です。検討している雑居ビルの1階にも飲食店が入っています。お世辞にも良い環境とは言えないです。昼間は何も感じませんが、夜の治安はどうなのでしょうか。とはいえ、幹線道路の騒音も含めて、オフィスとして使用する分には全く問題なさそうです。
隣のビルの1階にはコンビニが、反対側のビルにはドラッグストアが入っていますし、有名デパートも歩いて3分の距離にあります。お買い物も含めて利便性は高いですね。
3.建物周囲の状況 2点
繁華街の中に位置するし、そもそも1階が飲食店ですからかもしれませんが、ゴミが散らかってしました。午前中に視察したので清掃がまだなのでしょうか。空き缶やペットボトルが建物外壁に沿って多数捨てられていました。
向かいにはコンビニがあるので、それも影響があるのかもですね。実は、これが後で大きな事件に関連することになります。
4.建物外部の健全性 4点
チェックポイントは外壁のクラックですね。ちょっと離れたところから眺めます。
窓の角からクラックが入っているのを発見しました。ただし、多くはありません。外壁の塗装も比較的きれいです。外壁のメンテナンスをしているようです。窓は建築当時のままですね。築年数の割りにきれいだし、クラックも多くはありません。
昭和51年(1976年)竣工です。当時の日本の経済状況は、第4次中東戦争を発端に1973年のオイルショックによって物価が急上昇し景気は後退局面となりました。1974年の日本の実質成長率は△1.9です。建築工事を行っていたと思われる昭和50年(1975年)には、すっかり不況の風が吹いていたようです。
こんな中でのビル建設。建物の品質は施工管理のレベルに左右されますので、当時の経済状況がそれに与える影響は限定的だと思います。しかしながら、仕事が少ない中で工事を進めている状況であれば、品質の多少高い建物となっていると考えてもよいのかも。そう思いたいところです。(笑)
できれば、コンクリートの中性化の状況も確認したくなりますが、コア抜きなんてできるわけないですし、そんな試験する費用なんてかけられません。
コンクリートはアルカリ性なので、中に入っている鉄筋の錆を防いでいます。これが中性に近づいてくると鉄筋が錆びてしまいます。
雨や空気中の二酸化炭素によって徐々にコンクリートはアルカリ性が失われていきます。それは外気に近いコンクリート表面から起きる現象ですので、くり抜いて検査をすれば、どの程度中性化が進んでいるかわかるんです。中性化が進みすぎている場合は、これ以上の劣化が進まないように表面から専用の塗料を塗ったり、再アルカリ化する薬剤で処理したりします。
今回の雑居ビルは、3年前に大規模修繕工事を実施して、外壁の再塗装などを行たようです。
5.建物内部の健全性 4点
築年数が築年数ですからデザインからして古さが出てしまいますが、共用部も再塗装しており比較的きれいでした。ただし、窓回りの塗装の浮きがありました。これは窓からの水の侵入が原因です。
外壁の塗装と一緒に、窓回りの止水(シーリング工事)も一緒に再施工しなかったのでしょうか。担当している施工業者や工事の監理も行っているであろう管理会社のレベルが想像できます。
とはいえ、他で目に付く劣化が特に進んでいるような部分はありませんでした。
6.設備の状況 2点
雑居ビルの設備では空調設備に注意します。機械ものですから交換は必須ですし、その際の費用はかなり大きなものになります。
正解はエアコンの室外機です。住宅用は四角い箱の中でファンが回っていますよね。同じもののビル用です。写真ではスケール感がつかめないと思いますが、高さは1.5mくらいはあります。
一目見て、あと何年使えるのだろうか。。。
ちなみに、ビル用はマルチエアコンといって、複数の室内機を1台の室外機が担当します。写真では、2つのファンがついていますが、これで1台の室外機となっています。私の階の室外機は右側ですね。。。
交換するときは室内機も一緒です。手痛い出費は免れません。
7. 屋上 4点
建物の屋上は見るべきものがたくさんあります。雑居ビルに限らず屋上には設備機器が設置されていますし、定期補修の状況によって管理組合の維持メンテナンスに対する取り組み姿勢もうかがい知ることができます。
設備に関しては、先ほどの空調機の室外機、キュービクル(変電設備)、各種アンテナ、貯水タンクなどです。
また、維持メンテナンスについては、防水の再施工状況です。防水は経年劣化しますので、定期的にやり替えが必要となります。
聞くところによると、この雑居ビルは見学した当時から3年前に大規模修繕をしたようなので、健全そうでした。
8.清掃状況 3点
建物周囲は先ほどの通りですが、建物内部については普通でした。週3回の清掃が入っているとのことですから、それなりです。1階の郵便受け回りもチラシが散らばっていませんし。
ただ、やはり避難階段回りは雑然としていました。使い方の問題がありました。今だから言えることではありますが。。。
9. テナント 3点
不動産仲介業者、会計事務所、語学学校、と特段問題はなさそうです。1階の飲食店を除けば。場所柄、仕方ないかもしれませんが夜になると多くの人でにぎわいます。するとゴミですね。。
今日のまとめ
現地確認をすると、何かしら気がつくことがあります。建物自体のことではなくて、周辺環境なども含めて。それが購入を止めることにも場合によってはなります。1Rマンション以上に、テナント目線で確認することが大事で、それが命取りになりそうな印象を受けました。