今日は2021年元旦です。
新年あけましておめでとうございます。
業界展望なんて、大仰なタイトルをつけてしまいましたが、私は建設業界に身を置くサラリーマンです。
目や肌から感じている建設業界の今の状況を踏まえつつ、投資という観点からの2021年の不動産業界を率直に予想してみます。
2020年 すでにゼネコンは右肩下がり
東京オリンピックが1年延期になりましたが、2019年でオリンピック関連のゼネコン仕事は終わっています。すると、オリンピック関連の建設ラッシュの終焉を待って着工する民間プロジェクトが始まります。
労務費や鉄骨や鉄筋の材料費の高騰を受注金額の上昇で補い、さらにバブル期以降で高い利益を確保できたゼネコン各社ですが、数百億円という規模の民間プロジェクトは数に限りがあります。
となると、受注するために価格競争が始まります。つまり、利益の共食いです。特にこれといった差別化要素が無いゼネコン各社は、競争となると価格勝負しかないんです。
民間プロジェクトもここにきてコロナ禍で、ホテル建設計画は軒並みストップ。オフィスもテレワークで今後の需要も不透明になりました。唯一、大規模流通倉庫くらいですかね。新築着工が続いています。
2021年以降、ゼネコン各社の業績は右肩下がりになりそうです。
コロナ禍とオフィスビル
半年ほど前に汐留駅近くにある、某大手広告代理店のオフィスビルに立ち寄りました。フランス人建築家が設計して2002年に竣工した自社ビルです。
6000人もの社員が働いていたビルは、今では警備員のチェックを受けて入館する社員もほとんどおらず閑散としていました。
都内各所に点在していた事務所を集約したオフィスに、今ではだれも出社しない現実。しかも、ほぼ全員がオンラインで仕事をし、それが当たり前になりつつある状況を鑑みると、オフィス不要論もあながち無視できません。
一方で、これは私の経験ですが、テレワークを強いられて通勤時間も不要となり仕事がはかどったかというと、答えはNOです。やはり、通勤時間をかけてでもオフィスで執務をするメリットがあるのです。もちろん職種にも依るとは思いますが。
住まいは都心から郊外へ?
テレワークの浸透とともに、都心から郊外に住まいを移すケースが取りざたされました。実際、神奈川県三浦半島などは不動産価格が上昇に転じたエリアもあるらしいです。
マスコミがそういったネタに飛びついて報道していましたが、私の回りで実際に転居した人はいませんね。
不動産仲介業者からも、コロナ禍によって引越しの延期はあったものの、郊外への転居が顕著に表れている印象は受けていないとのこと。
2021年の不動産業界の動き
2021年とはしていますが、ここ2~3年の動向として、
- オフィスの建設スピードは遅くなる。
昨今の大型オフィス建設の波は一巡済み。今後は中小規模のオフィス建設や建て替えがある程度は進む可能性がある。
とはいっても、これも全体の現存オフィス数から比べればごく一部。 - 郊外へ転出する会社や個人は限定的である。
やっぱり都心のオフィスや住居が便利。テレワークではカバーできない付加価値がある。単身者の都心志向は変わらない。
と考えています。
ただし、不動産価格や賃料は徐々に下降線をたどるのではないかと予想しています。一部の転出による空室率の上昇と激化する受注競争によって、新築の建設コストが低下し、それにともなって中古物件も下がってくるという予想です。
建設業界内にいるので、どうしても業界内からの視点で考えてしまいますが、皆さんはどのように考えますか?