売買契約を締結してから、引き渡しまで3ヶ月くらいかな?期間があきました。その間に不動産仲介の担当者から、引き渡しの書類のやり取りについての説明を受けたのですが、面前ではなく郵便だけで済ませるとのこと。
すごく不安になりました。なぜなら、その担当者以外との面識もなく、そもそも担当者とも2回しか会っていません。私にとっては多額のお金のやり取りになるにもかかわらず、郵送だけで済ませてしまって大丈夫?という不安が先に立ちました。
ということで、不動産仲介の担当者、司法書士、私の3名が不動産仲介業者の事務所に集まって引渡しの手続きをすることになりました。それでも当の購入者は立ち会わないんですよね。。まぁ、お金を払うだけですからね。。。
10年前の購入時はどうしたの?
4人が集まりました。売却する方も参加して。確かに購入者(私)からの残代金の払い込みを確認して、登記の手続きの書類に住所・氏名の記載と押印など、淡々と事務的に手続いが進むだけですけど。
不動産仲介業者が第三者的に中立的な役割をしているとは言え、お金は売買の当事者間で直接ですからね。
購入代金を振り込んで、ドロンされたらおしまいですよ!まぁ、そうなることなんて仲介業者も売買の両社の状況を確認しているわけで、普通の取引ではありえないんでしょうけど。
でも不安なんですよね。
アメリカでの不動産事業の経験
2006年から数年間をアメリカに駐在して、不動産事業に携わってきました。土地の購入や新築住宅の販売・引渡しに関する業務、さらには現地法人の財務の管理も含めたマネジメント全般を担当しました。つまり、アメリカでの不動産事業の流れの全てに大なり小なり関わったということです。
今回は、不動産売買におけるアメリカのシステムを紹介して、どうして私が面前での引渡しを申し入れたのかを説明したいと思います。
Escrow(エスクロー)制度
アメリカでの不動産売買では州によって違うところもありますが、Escrow(エスクロー)が引き渡し時に第三者として参加します。
Escrow業者はTitle Insurance(権限保険)を手掛けている会社が一緒に生業として行っていることが多く、その機能は主なものとして
- 不動産取引の中核機能
- 不動産登記情報の調査と権限保険の付与
- 引渡しの際のお金の精算と振込み(Escrow口座)
- 登記
があります。
今回は引き渡し時の手続きについて解説しますので、関係の薄い2以外をメインに説明しようと思います。
1.不動産取引の中核機能
日本の不動産取引では、利害関係者の間で直接金銭をやり取りします。司法書士もその取引に参加しますが、不動産登記を担当するのみです。不動産仲介業者が手続きの全体的なコントロールを担いますが、購入者と売却者の手続きの仲立ちをするだけですし、そもそも完全に利害関係のない第三者ではありません。
Escrowは、完全な中立者として不動産取引の仲立ちを行います。購入者、売却者ともに直接的な利害関係はありません。
3.Escrow口座
Escrow業者は取引ごとに口座を開設します。その口座では、
- 購入者からの入金
- 購入者のローン会社からの入金
- 売却者への出金
- 売却者のローン会社への返済のための出金
- 不動産仲介業者への出金
- 不動産登記等の手数料の出金(Escrow会社の取り分含む)
などが引き渡し日に同時に実行されます。購入者や売却者の銀行口座でやり取りするのではなく、第三者の口座でのやり取りですから非常に安全性が高いものとなります。
引渡し前には上記のお金のやり取りの明細(HUD statement)を両者が合意したうえで、引き渡し日を迎えます。後は、Escrow口座に引渡しが実行される前に着金していればEscrowの担当者が全て執り行ってくれます。
4.登記
Escrowは日本の司法書士も兼ねています。引き渡し当日に登記まで一気に実行してくれます。もともと、売買対象の土地に関係する登記情報を調べて、それに対する保険を販売するのが彼らのメイン業務ですので、登記もお手の物。
つまり、不動産取引をワンストップで引き受けてくれる非常に優れたシステムなんですね。
ということで。。。
日本にはEscrowというシステムがないので、まず間違いは起きないだろうとは頭では分かっていても、どうしても人任せにできないんですよね。
だから、当事者が集まって全てを確認しながら取引を実行する方法しかないんです。
今日のまとめ
繰り返しになりますが、やっぱり人任せにできない性分であるということもありますが、絶対に間違いを起こさないという意思を持つことは忘れちゃいけないんだと思います。
引渡し、楽しみです。
[…] 70日目で郵送による引き渡しに一抹の不安を感じたことはお伝えした通りです。それで、実際に対面で譲渡手続きしてきました。 […]